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アクティブラーニングは学生が主役〜その9〜

国際学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第9回。竹澤先生は学生一人ひとりを授業の「主人公」にするために、時に引き立て役となり「学ぶこと」の楽しさを共有し、通常の授業がもつ潜在力を引き出しています。

   


アクティブラーニングは学生が主役

人間の仕事が奪われる?」インパクトのあるタイトルです。つい先だって、本ホームページの「アクティブラーニング」の連載に登場したタイトルです。編集者の鋭い知性と感性が導き出したタイトルと言えます。機械・ロボット・人工知能が近い将来、多くの人間の仕事を奪う予想を突いていました。だから人工知能ではカバーできない「アクティブラーニング」の領域が必要なのだと。私は「グループ学習の陥穽」で「復唱」の大切さを訴えました。ただの鸚鵡返しの「復唱」ではなく、自己確認・他者確認のための「復唱」だと。これも「人工知能」には不可能な領域です。してみれば「アクティブラーニング」は人間の「存在証明」に通じます。


そこでもう1つ「人間にしかできない」ものを。質問です。質問する勇気と知性、つまり「質問力」です。
私は現在、日進キャンパスにおいて3つのセミナー(ゼミ)を担当しています。学生の総数が77名になります。その中で、まさに「質問長者」と呼び得る学生が日に日に増えてきています。セミナーの2大役割は卒論と就活です。毎回の「授業」(注、セミナーも100分間の「授業」です。)では、必ず最低1人は卒論完成に向けたプレゼンをしています。今、「バイナリーオプション」を主題とした卒論のプレゼンが終わりました。3年生の、実際に投資を手がけている学生の発表です。A君としましょう。まずB君が「バイナリー」の、さらにわかりやすい説明を求めます。A君の解説に納得できないCさんが食い下がり、B君が同調し、DさんがA君をフォローします。ひとしきり質疑応答の花が咲きます。A君は卒論の内容に若干の修正を余儀なくされます。次に追い討ちをかけるようにE君が質問すると、そこから質疑応答の別の花が咲きます。こうして毎回「質問の花」が満開になるのです。

「人工知能」は「質問の花」を満開にさせることはできません。「質問力」に目覚めた「主役」の学生たちは、実に多くの「想定外」を引き起こすからです。この「想定外」こそ人間の「存在証明」。「答えの決まってない」問題に「質問力」を武器に果敢に挑む「主役の」学生たち。「質問なしは欠席も同然だよ。」と叱って(?)いた私の姿は、すでに過去のものとなっています。