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中国がただの岩を「島」だと主張したのはなぜ?

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

本日の溝渕正季先生による「国際政治」の講義では、中国や北朝鮮の指導者の立場で対外政策について考え、東アジアの安全保障環境についてアクティブラーニングによって理解を深めました。
中国の軍事力拡大や北朝鮮の核開発問題のニュースでよく耳にする【脅威】や【抑止】という言葉。
では、【脅威】とはなんなのか、学生に意見を求めると「軍事力や軍事力を支える経済力」、「軍事力や経済力の源である人口」、さらには「行動力、情報力、発想力」など多くの意見が上がりました。
【脅威】は3つの要素が融合して生まれます。それは、「能力(軍事力など)」「意図(意志)」「地理的近接性(どれだけ自国から近いか)」の3つです。そしてこの脅威から国を守るために必要なのが【抑止】です。まずはこの基本を押さえて、講義は中国の対外政策について展開していきました。

戦争をなくすにはどうしたら良いのか?


講義は「戦争をなくすにはどうしたら良いのか?」というテーマから始まりました。
学生は「不戦条約を結ぶ」「他国への干渉をやめる」「国同士が利益や損失を共有する(経済的相互依存)」など、リアリズム・リベラリズムの理論に基づく意見を述べていました。
また、「軍事力をなくす」というある学生の発言に対し、「各国が核兵器を持つ」という反対意見を述べた学生もいました。
この反対意見を言う、他者と違う視点で考察し発言するというのは、アクティブラーニングでは大切なことであり、ディスカッションが活性化するための良い刺激となります。


中国が周辺諸国と摩擦を引き起こす狙いは?

中国は南シナ海に浮かぶ幾つかの岩礁を埋め立てて人工島(南沙諸島)とし、独自で引いた境界線である「九段線」の海域内の主権や管轄権、歴史的権利について主張していました。しかし、この主張は仲裁裁判所によって国際法上の根拠がないとし、中国の主張は根底から覆されました。

なぜ、中国は国際的批判を受けながらも、人工島を造成したり、尖閣諸島に出没し日本の領海侵犯を繰り返すのでしょうか?
先生の「中国の対外政策の背景や狙いは何か?」という問いかけに対し、「外に敵を作ることで、内部への目をそらすため」「日米同盟にくさびを打ち込むため」「今後の発展のために海洋資源が必要となるので、自分のものにするため」「どこまでが許されるのかというレッドラインを探るため」など、学生は中国の指導者の立場に立ち、中国の戦略について論じていました。

都心型コースのアクティブラーニングでは、学生はどの講義でもケースブックを基に予習を行っています。しかし、それだけにとどまらず自主的に様々な情報を文献やインターネットで収集・精査し、その内容を基に深く考察して講義に参加しています。その準備があるからこそ、一つのテーマのディスカッションでも、ケースブックを読んだだけでは導き出せない様々な意見が飛び出すのです。