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アクティブラーニングで学ぶ働く価値観

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

本日の椿田貴史先生による「ビジネス心理学」では、スウェーデン発祥で世界的な家具量販店であるイケア(IKEA)のビジネスケースを扱います。イケアの創立者であるイングヴァル・カムプラッドがどのような戦略や立案をとり、いかにして世界的な企業に成長させてきたのか。ケースを読み解き、アクティブラーニングを通じて考察します。まずはじめに学生に問います。イケアで働いてみたいですか?様々な意見が出ますが、イケアの経営方針や従業員の持つ価値観は、柔軟なイメージが定着しているようです。


イケアの誕生


スウェーデン南部にあるスメランドに生まれたカムプラッドは、17歳から雑貨などを販売し始め、数年後、雑貨から家具までを販売する通信販売事業を設立します。戦後のスウェーデンでは、戦時中に抑えられていた需要は向上し、安価な家具を求める若い世帯が増えていきました。カムプラッドはこのビジネスチャンスを逃さず、大半の人が手が届く安価でデザイン性の高い家具を製造することを目標としました。また、車が買い物の習慣に影響を与えている点をビジネスに活かし、郊外に建設された当時ヨーロッパ最大の新店舗では、広い駐車場を設けました。これらの慣習は、イケアを業界の低価格リーダーへの地位に押し上げました。さらに、イケアの販売方法は他の同業種と一線を画し、セルフサービスで倉庫から組み立て式の家具を選ばせ、現金持ち帰り制を導入しました。家具量販店の従来からの概念を覆しながら、市場のシェアを拡大し続け、1970年代に国際的な事業拡大に乗り出します。

カムプラッドのビジョン

スイスをはじめ中欧に進出したイケア。スイス家具は伝統的なデザインや色の濃い木材を使用するのが特徴ですが、これらの事実を無視し、イケアの現代的なシンプルなデザインの家具を従来通り組み立て式・セルフサービスで提供しました。成功の秘密には広告にあります。常識を覆すイケアのコンセプトを、スイス人の心理に訴えるようユーモラスな広告で浸透させました。カムプラッドは、一部の需要を満たすためでなく、大多数のより良い日常生活を満たすため民主化のプロセスを重要視しました。また、本人は質実剛健で思いやりがあり、スタッフと信頼関係を築き、部下に尊敬される人物でした。しかし、カムプラッドは、イケア流の働きをするスタッフのみを必要としていました。ここで、学生間で自分の働くことの価値観についてディスカッションをし、ものごとや感性の優先順位付けを行います。

ディスカッションで知る自身の価値観

アクティブラーニングを通じて、イケアの独特な文化について知り、イケアという組織において求められる 人物像を検討します。また、心理学的な観点から人物測定についてディスカッションし、ビジネスでも応用可能な心理アセスメント(観察・面接・心理検査・調査)の技法を使い、自身の価値観について改めて認識することができます。学生間で話すことで潜在的な自分の考えを引き出し、意見しあうことで展開することができます。アクティブラーニングでは様々な視点から物事を考察し、柔軟な思考を身につけることができます。