消費社会と現代人の生活 : 分析ツールとしてのボードリヤール
矢部謙太郎著
学文社
本書では、ともすれば専門用語の羅列へと傾きがちな、それゆえ「難解」なボードリヤールの消費社会論を、社会学とりわけ「コミュニケーション」の観点から、初学者にとって理解しやすいよう可能な限り平易に読み解いていきたい。そして、読者に、ボードリヤールの消費社会論を現代の諸現象を分析するための有効な理論枠組のひとつとして活用してもらうことを目指す。
本書の構成としては、ボードリヤールの消費社会論の基本的な考え方を、各講の末尾に「命題」という形でコンパクトにまとめて提示する。各講でひとつずつ命題を提示することによって、ボードリヤールの消費社会論を読者に無理なく段階的に理解してもらうと同時に、各命題によってどのような現象が分析されるか、その「使い勝手のよさ」も段階的に確認してもらえればと思う。(「はしがき」より)