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アクティブラーニングで学ぶ人事評価

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

圓生和之先生の「組織と人事」の講義では、組織の人事に関わる事項を経済学の視点からアクティブラーニングで学修しています。組織の中で人々が効率よく働く仕組みをつくるにはどうすれば良いか、どのようにすれば自らの能力を最大限に発揮し、組織の経営に貢献するかを理解します。
今回は誰もが気になるボーナス額を左右する業績評価について、どのような点が重視されているのか、業績を評価する側の立場から考えていきます。


人事評価を左右するもの


この講義で使用したケースはハーバードビジネススクールでも使用されており、アメリカのシティバンクを題材に書かれています。主人公のリサはエリアマネージャーで、直属の部下であるジェームズの人事評価をしています。ジェームズはロサンゼルス・エリアにおける支店の中で最重要と言われる支店の支店長です。入行以来異例のスピード出世を果たしている人物で、彼の財務業績は4年連続予想を上回るものでした。シティバンクでは長年人事評価において財務の指標が重視されていたため、ジェームズの評価は高いものでした。しかし、社長のフリッツは長期的な視点から高水準のサービスを提供したいと考え、新たに財務以外の評価指標である①戦略実行、②顧客満足度、③業務管理、④従業員と規範の4つを追加したパフォーマンススコアカードを導入しました。今期も、ジェームズの財務業績は突出していましたが、顧客満足度は芳しくありませんでした。

ジェームズの評価をどうすべきか、学生たちからは様々な意見が飛び交いました。
「顧客満足度が低くても、銀行業務の中心である財務業績が良いことを高く評価すべきだ」
「長期的な視点に立って顧客満足度などの指標を導入したのだから、低く評価すべきだ」
「逆に、顧客満足度は高いが財務業績が悪い社員が出てきたらどうするのか」

人事評価の指標は、社員の行動の規範となります。社員はそれによって高く評価されたいと行動するからです。したがって、評価指標の項目はその企業がめざす方向と一致した必須のものでなければなりません。学生からは「人事のしくみが、社員の行動やモチベーションにまで影響することに驚いた」という声も聞かれました。まだ仕事に就いたことはない学生たちですが、現実の社会であった事実を取り上げたケーススタディで、ビジネスの最先端の議論を経験する講義となりました。