なぜ同じ会社のソフトばかり使われるのか? ビジネス事例から学ぶ「独占禁止法」《独占禁止法と企業》
「なぜ、使い勝手が良い方のソフトにスイッチしにくいのでしょうか。」
川原健司准教授が担当する経営学部の専門教育科目「独占禁止法と企業」では、ビジネスの場面で起きがちなケースを題材に、デジタル社会における競争ルールについて学びました。この科目は、企業間の公正な競争を支える「独占禁止法」について、ビジネス事例や国内外の独占禁止法の事案をモチーフにしたケースをもとに学びます。今回の授業では、学生も様々使っている身近なデジタルプラットフォームのサービスを確認した後、ソフトウェアメーカーのケースを通じて、企業側・利用者側それぞれの立場から議論しながら、ソフトウェアのパッケージ販売と独占禁止法の関係について理解を深めました。
営業先から突きつけられた「待った」の声
今回扱ったケースの主人公は、ソフトウェアメーカーX社の営業担当者である作並敏子。X社は顧客である企業の課題に対応した様々な業務ソフトウェアを提案しており、敏子は営業先のA社のIT調達担当チームから好印象を得ることができた。しかし、A社はすでにY社の業務ソフトウェアのライセンスを契約しており、結果的にA社の役員からX社との契約に待ったがかかった。Y社は各種ソフトウェアをパッケージの形で提供しているため、A社の役員は、敏子の提案したソフトをY社製のもので代用でき、X社の採用は不要ではないかと考えた。Y社は有力なソフトウェア事業者で、A社だけではなく多くの企業がY社のものを使用している。このY社のパッケージ化したソフトウェア販売による他企業への影響について、独占禁止法の観点から考えます。
なぜ一企業の商品のみが覇権を握るのか?
今回のケースの主人公が直面した課題について、顧客企業の視点から考えました。学生はA社がX社の商品を簡単に購入しようとしない背景を想像し、「企業が従業員全体のアカウントを購入することになり、慎重にならざるを得なくなる」、「多少使い勝手が悪くてもパッケージの中のものを使い続けたいと考える」など、アカウントにかかるコストとパッケージ商品を利用したいという顧客側での考慮事項を明らかにしました。さらに、川原准教授はこうした商品が独占禁止法とどう関わっているのかを学生に投げかけ、「抱き合わせの問題に関わる」という一つの結論へ導きました。
独占禁止法を通してデジタル社会を考える学び
今回の授業を通して、学生は「デジタルプラットフォームについてあまり詳しく知らなかった部分の理解を深めることができたし、これからのデジタルプラットフォームの商品販売に関して考える機会になり、学びとして得るものが多かった」と話しており、企業や利用者、競合している他の企業といった複数の立場から課題を分析し、デジタル社会における競争のあり方を法学的に考察しました。