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経営学部:仕事の世界におけるコミュニケーション能力《川村教授》

経営学部:仕事の世界におけるコミュニケーション能力《川村教授》

本学経営学部の教員、川村稲造先生の論文「アンケート調査から見た「コミュニケーション能力」の現状と問題点」をご紹介します。川村先生は大手都市銀行に30年間勤務され、支店営業部門と本部管理職を経験後、鉄鋼メーカー(一部上場)へ出向・転籍され、常務取締役に就任されました。同社退任後、神戸大学への論文提出で博士号を取得され、2010年より本学の教壇に立たれています。

いま実社会が大学教育に強く求めている「コミュニケーション能力」とは、例えば社会学・哲学・産業組織論などの授業の中で実践的に学べるようなものなのでしょうか?川村先生は、それは教え方の問題だけではなく、そこにはもっと構造的な根深い要因が隠れているのではないかという素朴な疑問を持たれました。本論文では、いくつかのアンケート調査結果の分析を通じて、現代日本人とりわけ学生たちが仕事の世界(職場)に求める「人間関係」、および基盤となる「コミュニケーション能力」に関する意識と行動について、その現状と問題点を考察されています。

  

アンケート調査から見た「コミュニケーション能力」の現状と問題点
川村 稲造

Ⅰ、はじめに
 本稿の目的は、いくつかのアンケート調査結果の分析を通じて、現代日本人とりわけ学生諸君たちが仕事の世界(職場)に求める「人間関係」、および基盤となる「コミュニケーション能力」に関する意識と行動について、その現状と問題点を考えることである。
 文部科学省は「学士力」という概念のもとに4つの能力カテゴリーを立てて、その2「汎用的技能」(ジェネリック・スキル)なるカテゴリーのなかに、「コミュニケーション・スキル」「数量的スキル」「情報リテラシー」「論理的思考力」「問題解決力」の5つの能力をあげている。
また中央教育審議会ほか関連する専門家の議論では、コミュニケーション能力のような「ジェネリック・スキル」は、個別の科目を立てて教えるのではなくカリキュラム全体に埋め込んで、あらゆる講義・セミナー・学内外活動の中で、まさにそれらすべてを支える汎用的な技能として経験的に学ばせるべきだとする意見が主流のようである。
 筆者はもとよりこれらの議論を否定するものではないが、本当にそれだけで問題は解決するのだろうか、という一抹の疑念を抱いてきた。つまりいま実社会が大学教育に強く求めている「コミュニケーション能力」とは、例えば社会学・哲学・産業組織論などの授業の中で実践的に学べるようなものなのだろうか。それは教え方の問題なのだろうか。そこにはもっと構造的な根深い要因が隠れているのではないか。そういうきわめて素朴な疑問である。それが本稿のそもそもの執筆動機である。
 そのため筆者はこの問題をあえて「学士力」や「社会人基礎力」の議論からではなく、「ユーザーの声」から出発しようと考える。ここでいう「ユーザー」とは、現代日本人全体であり、また私の教室に集まる学生諸君である。それが「アンケート調査」なのである。

続きはNUCB Journal of Economics and Information Science Vol.58 No.1をご覧ください。