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経営学部:アクティブラーニングの失敗マンダラ《亀倉教授》

経営学部:アクティブラーニングの失敗マンダラ《亀倉教授》

本学経営学部の教員、亀倉正彦先生の論文「失敗マンダラを活用したアクティブラーニング授業の失敗事例分析とその知識化―学生の「やる気」を引き出す観点から―」をご紹介します。亀倉先生は慶應義塾大学博士課程を満期退学後、本学の教員として「大学生の就業力育成支援事業」や「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業(中部圏23大学)」などに取り組んでこられました。

アクティブラーニングは、最近になり教育政策や実践の現場で急速に話題を集めつつあります。亀倉先生は、文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(平成24~26年度)に採択された「中部の地域・産業界との連携を通した教育改革力の強化」において、「アクティブラーニングを活用した教育力の強化」を一つの狙いとして取り組まれ、本論文でこの事業成果を形にした「失敗マンダラ」について、その到達点と課題点を整理し、さらにこの失敗マンダラをどのようにして活用するのかを検討されています。

  

失敗マンダラを活用したアクティブラーニング授業の失敗事例分析とその知識化
―学生の「やる気」を引き出す観点から―
亀倉 正彦

1.問題意識
1―1.本稿の狙い
 アクティブラーニングは、最近になり教育政策や実践の現場で急速に話題を集めつつある。アクティブラーニングという用語は比較的新しく登場したものであるが、その内容そのものは以前から語られてきたものである。すなわち自ら考えを深めるとともに、経験・体験をすることによって現実社会で実践性の高い汎用的な能力を育成することの重要性は大きな目で見れば長く耳にしてきた議論である。実際のところ、多くのケースでアクティブラーニングは、科目タイトルや講義内容(=コンテンツ)に大きく立ち入るというより、むしろその内容を伝えていく過程で(=プロセス)、社会人・産業人として活躍するために必要な諸々のスキルを習得する、ないしはそのような資質を持った人材の育成を狙ったものであったといえよう。
 文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(平成24 ~ 26年度)に採択された「中部の地域・産業界との連携を通した教育改革力の強化」(幹事校三重大学)おいて、この「アクティブラーニングを活用した教育力の強化」(テーマ担当副幹事校名古屋商科大学)を一つの狙いとして、中部圏の23大学が各校様々な狙いをもってチャレンジを積重ねてきた。この中部圏での取組は、「失敗学」を切り口にしたことが一つの特徴である。失敗学では、失敗を「原因」・「行動」・「結果」のつながりとしてとらえ、事例を共有化するとともに、失敗に共通する要素を「マンダラ」として構造化し、その分析に基づいて、知識化を行なっている。従来、失敗学の方法は、事故再発防止などの重大な事故等に適用されることが多かったが、教育現場にどのように適用できるかに関して、23大学における事例をもとに「インターンシップ」と「アクティブラーニング」の2つの取組テーマにおいてワークショップを実施し、分析を行った。
 本稿の目的は、アクティブラーニングに関する、3年間の事業成果を形にした「失敗マンダラ」について、その到達点と課題点をまずは整理し、さらに次の段階としてこの失敗マンダラをどのようにして活用するのかを検討することである。別の表現を用いるなら、「アクティブラーニングを活用した教育力の強化」としての事業の成果をマンダラという形で具体化し、これについて「学生のやる気を育成する」の観点から、その失敗行動・原因・結果、そして対策方法を示すこと(=知識化)に主たる狙いがある。「学生のやる気」に目的を絞る理由は、既存のアクティブラーニングの実践上の議論が混乱している主な原因が、誰にとっての人材育成目的なのか等のことを曖昧にしたままの議論になっているからなのであるが、この点は後述する。

続きはNUCB Journal of Economics and Information Science Vol.59 No.2をご覧ください。