《授業レポート》矢部 謙太郎先生「消費社会論」
洋服の「記号価値」とは何か
矢部謙太郎先生による「消費社会論」の授業では、ジャン・ボードリヤールというフランスの哲学者の考え方から、「消費とは何か」に始まり、使用価値と記号価値の違い、記号価値はどのように生まれるか、を学んでいきます。授業のスタートでは、パノプリ(=記号価値を生む組み合わせ)について、23人もの学生が、自宅で調べた事例写真について全員発表しました。その後、実際のケースに基づいて、学生の意見を聞いていくディスカッションが行われます。今回は、自分が着ている服について、なぜそれを選んだかを考え発表し、服の機能・効用に価値を見出す「使用価値」と、自己表現としての価値を見出す「記号価値」の違いについて、矢部先生が説明されました。
オンラインスタジオでの授業
「消費社会論」の授業では、現代の消費において重要視されるところが、使用価値ではなく記号価値に変わりつつあると教えられます。その中で、ある人物のケースについて自分が共感できるのか、それとも共感できないのか。また、同じモデルに従いながらも、個性を見出すにはどうしたらよいか、についても学生が発表しました。矢部先生は、個性は微細な差異から生まれるため、全くモデルを無視するのではなく、共通知識としてのモデルを知ることが必要であると伝えています。議題はイメージしづらい難しいものでしたが、建売住宅を例に出したり、テレビ番組やお笑い芸人の名前も使って、少しでもイメージしやすい授業になるように工夫がなされています。学生は、自分の発表した内容への先生のコメントや、他の発表者のコメント応対を聞き、難しいテーマであっても、真剣に考え発表しようとする意識を持つことができるようになります。先生は、オンライン授業を行うことにより、通常よりもひとりで考える時間が取れること、また写真や資料を自分のPCでより近くでじっくり見られることで、新たな気づきにもつながっていると語ってくださいました。授業は大学内のオンラインスタジオを利用して行われ、1画面で50人の学生を見ることができます。100人以上の人数の授業であっても、アクティブラーニングの形を崩すことなく授業が行われています。