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隣接国家の「辺境」から見る海境  ―豪北部海域の領域化と境域のダイナミズム―

科研費研究による成果

研究の概要メンバー紹介研究調査活動研究成果

研究の概要



 本研究は、境域の形成過程という歴史性を考慮しながら、境界の策定に伴って地理的・政治的周縁部に置かれることになった人びとの視点から「境界」の多元性を実証的に描き出すことを目的としています。「海境」という概念を提示し、人びとの経験世界に基づく境界と国家主権の発動による境界からなる多層構造の境域を複眼的に捉える本研究は、境界研究に新たな展望を拓くことに貢献すると考えます。
 国境には、その間の排他的境界のイメージが伴います。けれども、国境を越えるヒトやモノや資本の双方向の流れは同等ではないですし、国家主権が及ぶ境界の様態も様々です。また、人びとの資源利用や相互交流といった日常生活での慣習的な境界があり、それは国家が管理する境界とは一致するものではありません。境域に焦点を当てれば、「国境」は複雑な様相を呈します。
 豪北部の海域は、経済格差の大きい国家が隣接する海洋上の境域にあたるという特徴を持ちます。「辺境」の社会集団の現実感覚に基づく境界や社会の変容、伝統的な境界と国家による領域化との緊張関係や相互補完関係、さらに彼らの国家への帰属意識を分析することによって、境域における主権の偏在性と、透過性や流動性を含む境界の実相を明らかにしたいと思います。


スラウェシの海と島


プロジェクトについて


課 題 名隣接国家の「辺境」から見る海境  ―豪北部海域の領域化と境域のダイナミズム―
研究費種目日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(B)(一般)
研 究 期 間2016年4月1日〜2020年3月31日
予    算1360万円(3年間の直接経費)

トレス海峡諸島を訪れるパプアの交易船

ロテ島のくらし


研究方法


 本研究は、学際的な共同研究で、豪北部海域の境域住民や越境集団、オーストラリアとインドネシアの情勢に精通している日豪の研究者10名で構成されています。各メンバーは、以下の3つの視点から、それぞれの研究手法で、研究対象地域や境域の社会集団での調査および史資料の収集・分析を行います。


(1)豪北部海域およびその周辺地域の境域住民や越境集団の経済活動の動態と社会変容を精査し、併せて境域の人びとの「境界」に関する意識を明らかにする。
(2)隣接する国々の中央政府の境界管理制度を歴史的に俯瞰し、境域での国家主権の発動の変遷とその様態を相互比較してその差異を析出するとともに、それぞれの国家の境域への影響とその偏在性を明らかにする。
(3)境域の人びとや越境集団に関する言説や表象を分析し、彼らのアイデンティティや他者意識、国家への帰属意識の変化と現在の在り様を考察するとともに、そうした人びとへの対抗言説を分析する。

トレス海峡諸島の防疫用の看板

インドネシア−東ティモル国境


問い合わせ先


〒470-0193 日進市米野木町三ヶ峯
名古屋商科大学国際学部
鎌田真弓(研究代表者)
電話:0561-73-2111
mail:kamadam@nucba.ac.jp


本研究はJSPS科研費 17H02241 の助成を受けたものです。