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第24回オーストラリア学会全国研究大会 個別研究報告

シンポジウム

第一分科会 10:00〜12:00 (CGC棟 7303教室)

司会 田澤佳昭(東京未来大学)

濱野健 (北九州市立大学)

論題:国策としてのオーストラリア移住:戦後日本の海外移住政策と新たな日豪関係の間で
要旨
 本報告では、国際協力事業団により企画された、1970年代末期からの豪州移住プログラムの実態を明らかにする。当時、南米を中心とした戦後の国策移住制度がその終焉を迎えていた一方、日豪関係の新たなパラダイムは、高度経済成長期の活発な交流の先に、日本から豪州への技術者移住制度の導入に繋がった。そこで、様々な資料を分析し、戦後日本の海外移住政策の終焉期に実施された豪州への移住制度の実態と、その顛末について明らかにすることを試みる。

藤岡伸明(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)

論題:クール・ジャパン戦略」における国際文化交流制度の重要性
     ——豪州日本食産業で働く日本人ワーキングホリデー渡航者の事例から考える
要旨
 近年、日本政府は「日本の文化」に関連する商品やサービスの海外進出(輸出と企業の事業展開)を促進するための施策(「クール・ジャパン戦略」)に注力している。 なかでも「日本の食文化」に関わる業種は、すでに一定の成果が出ているモデルケースとして注目を集めている。そこで本報告では、豪州日本食産業の発展を可能にした要因を、人材・労働力の供給という観点から考察する。具体的には、報告者が豪州で実施したフィールドワークに依拠しながら、現地日本食産業で働く人材・労働力 の確保に際してワーキングホリデー制度が重要な役割を担っている点を明らかにする。

小野塚和人(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)

論題:ケアンズにおける地域社会変動と「観光による都市化」
要旨
 1980年代からの日本企業を主導としたケアンズにおける観光開発は、受入社会にどのような影響を及ぼしたのか。パトリック・マリンズによる「観光による都市化」命題は、ケアンズの観光開発に伴う社会変動の分析に有用な視座を提供する。本報告では、ケアンズを題材とし、1)観光開発に伴う産業構造の変化、2)エスニシティと人口動態、3)ジニ係数の計算による所得格差の動向を考察することにより、「観光による都市化」命題の発展を試みる。

第二分科会 10:00〜12:30 (CGC棟 7301教室)

第一部 (10:00〜11:15)

司会 安田純子(郡山女子大学)

一谷 智子(西南学院大学)

論題:核とオーストラリア文学――B.ワンガーの写真集と連作小説を中心に
要旨
 福島の原発事故以来、「原子力」という観点から日豪関係が再検討されている。その過程で、ウラン採掘が先住民に与えた影響があらためてクローズアップされ、この問題への日本の連累も問われている。本報告では、豪州北部で先住民と暮らし、1950年代の英国による核実験と、その前後続いたウラン採掘が先住民に与えた影響を写真と文学作品に表象したセルビア系移民作家B.ワンガーを取り上げる。ワンガーの作品は、アイデンティティの詐称問題や核問題への言及のため、豪州では正当に評価されてこなかった。本報告は、写真集と小説群の分析を通して、ワンガー作品の現代的な意義を見出し、「越境作家が成し得た核批評」という観点から再評価を試みる。

湊圭史 (立命館大学)

論題:SF的〈孤児〉:G.イーガン『ディアスポラ』とA.マガン『神なき世界の驚異』における環境と主体
要旨
 「孤児」を主人公とするオーストラリアのSF小説2篇 (Greg Egan, Diaspora (1997) とAndrew McGahan, Wonders of a Godless World (2009))をとりあげ、人間の主体性と環境の関係についての思索として読み解く。それぞれの物語世界が、極端に情報環境が過剰もしくは欠如した人間的存在を推論的に設定することで、エコロジー的発想の様々な型の考察もしくは批判となっていることを示す。

第二部  (11:15〜12:30)

司会 中村登志哉(名古屋大学)

Ka Po Ng(愛知文教大学)

論題:How would the ‘China factor’ affect the Australia-US alliance?
要旨
In January 2012, the US made its return to the Asia-Pacific official by proclaiming a strategy of ‘rebalancing’ towards the region. Australia, through the ANZUS Treaty of 1951, has been an important US ally in the region. But, like most military-strategic alliances, it is a product of the Cold War. Although the alliance was invoked for the first time in 2001 and, thus, seemed prove its continued relevance in the new century, this in fact highlighted the issue of changing international security landscape. It should suffice to name just Australia’s reaffirmation of its intention to deepen its engagement with Asia, rising Chinese power, the ongoing financial crisis, and new sources and forms of security threats. Such developments lead to many questions; among them: Do the bilateral economic ties between Australia and China have any impact on its security relations with the US? How important is the alliance for the new US strategy?
 This essay intends to address these issues and examine the endurance of the Australia-US alliance through the lens of international relations theories in various traditions, especially against the background of a ‘rising’ China.

木村 友彦(ニューサウスウェールズ大学博士過程修了)

論題:1970年代のオーストラリア社会における東ティモール支援活動に関する一考察
要旨
 インドネシア軍がポルトガルの植民地だった東ティモールを併合することを意図して全面的な侵攻を開始した1975年12月前後の時期に、オーストラリアの社会ではインドネシアの軍事行動に反対し、東ティモールの民族自決や独立を擁護する運動や言論が強まった。本報告では、この時期のオーストラリアにおける東ティモール支援運動の展開について考察し、その特徴や意義またオーストラリアの外交政策との関係などについて議論することにしたい。

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