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アクティブラーニングは学生が主役〜その2〜

国際学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第2回。近年教育業界で注目されているアクティブラーニングの先駆者として、本学でも積極的に授業に導入しています。

   


アクティブラーニングは学生が主役

すでに名商大日進キャンパスで「伝説の授業」になっているものがあります。昨年度後期に私が担当した「現代青少年論」という教養科目です。週に2コマ、併せて300人を超える受講者がいました。その授業の8週目から11週目、合計400分、学生同士の議論が続いたのです。2コマとも同じ出来事が。授業を仕掛けていた私は、学生の良い意味での暴走」を止めることができませんでした。いやそれどころか、「点火され、火のついた」学生同士の議論に、時々風を送り、燎原の火のように議論の裾野が広がるのを楽しんでいました。MC(議論の司会者)に徹底して身を置き、この上ない快感を味わっていました。議論のきっかけは「引きこもり」の問題に手をつけたことでした。現代の日本社会に存在する、数十万人とも言われる「引きこもり」の問題を、データも駆使して解説し、その解決策を議論してもらおうとしました。
当初の計画は100分1コマで、落としどころを考えようと思っていました。ところが期せずして2コマとも、学生が自分の体験談を語り出したのです。もはや「他人事」ではなく「我が事」に転化しました。すると我も我もという感じで発言が続きました。いつの間にか議論の本質は「引きこもり」から離れ、「コミュニケーション論」へと発展・昇華していきました。授業の終わりが近づくと学生から次々と要望が出されました。「先生、この続き、来週もやってください。」私に断る術はありませんでした。何しろこれが「講義」ではなく「授業」の醍醐味なのですから。何も指示しなくても学生は次週に向けて発言の論拠をリサーチするようになりました。私は、「主役」である学生の「本音」を引き出しさえすれば良かったのです。400分が経過した時、残念がる学生を説得して次の課題に移行しました。アクティブラーニングに「正解」はないのです。
 
この「授業」と「授業」の合間に、キャンパスを歩いていると多くの学生に声をかけられました。中にはこの「授業」を選択していない学生からの声もありました。私が敬愛して止まないK先生。唯一、この授業の目撃者です。100分の終わり際に、「君たちはこの『授業』に参加できて本当に幸せだぞ。」と評していただきました。いいえK先生。「主役は学生」なのだから、至極当然のことなのです。

アクティブラーニング失敗事例ハンドブック