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アクティブラーニングは学生が主役〜その7〜

国際学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第7回。竹澤先生は学生一人ひとりを授業の「主人公」にするために、時に引き立て役となり「学ぶこと」の楽しさを共有し、通常の授業がもつ潜在力を引き出しています。

   


グループ学習の陥穽(かんせい)というものがあります。陥穽とは「落とし穴」のことです。ある課題に対してグループで話し合い結論を出すのがグループ学習です。色々な観点から話し合うので、学習者個々には思考力が身に付きます。結論を発表するので表現力も身に付きます。アクティブラーニングがグループ学習を多用するのは、思考力と表現力を重んじるからです。私も「授業」で、グループ学習を重用しています。でも、繰り返しますが、グループ学習には陥穽があるのです。「見せかけの学力」というものです。私の中学校教師時代の失敗をご紹介しましょう。この「失敗」が私の原点になっています。中学校では小学校と同じく「調べ学習」を頻繁におこないます。班ごとにテーマを決めて図書館やパソコン室で調べます。模造紙などに新聞をつくって班ごとに発表するのです。一見、望ましい学習過程が展開されているように思われます。ところがここが「落とし穴」なのです。

発表が終わった後で、班員個々に感想を聞きます。95%くらいが「面白かった。」と答えます。次に「どんなことがわかった?」と一人一人に聞きます。よろしいですか、「一人一人に」です。すると・・。辛うじて5人に1人くらいが「わかったこと」を答えてくれます。あとの4人は、いわゆる「お客様」だったのでしょうか?改めて「グループ学習の陥穽」とは。運用を間違えると「学んだつもり」の学生を大量に生み出しかねないのです。「グループ学習」のための「グループ学習」に陥りかねないのです。「調べて満足」「発表して終わり」になりかねないのです。「議論のための議論」「議論自体を楽しむ」ことが、まったく無意味だとは申しません。でもそれでは「学生が本当の主役」にはなれません。小・中学校の多くの「授業」で、この「話し合って終わり」「発表して満足」が横行しています。アクティブラーニングが徐々に(私から見れば微々たるものですが)浸透してきた大学でも、「落とし穴」がアチコチに見られます。では、どうすれば良いのか。私は実際、何をしているのか。次回以降に記していきたいと思います。すべては、「学生を本当の主役」にするためです。