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アクティブラーニングは学生が主役〜その6〜

国際学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第6回。竹澤先生は授業の「主人公」である学生に自ら歩み寄り、発言を促し、主人公の意見に耳を傾けます。学生数が少数であれ多数であれ、その方法に変わりはなく、常に学生の発言を重んじて授業を進行しています。

   



「授業」にディベートを取り入れている教師は何%くらいいるのでしょうか。単に目先を変える目的ではなく、学生を「主役」にする目的で、戦略的に取り入れている教師は?名商大の学部教育の目玉に「セミナー論文発表会」というイベントがあります。「卒業論文発表会」の中間的な位置づけで実施されています。発表者は3年生が中心。各セミナー(ゼミ)の中から選ばれた学生が、持ち時間40分でプレゼンします。数年前からこのイベントの中にディベートが入ってきました。つまり各セミナーは個人発表かディベートで発表するか選択できるのです。今年度の「竹澤セミナー」は、3年生が個人発表、2年生がディベートを選択しました。2年生26名を日頃つぶさに見ていて、彼らなら私の「鍛え」に耐えられると判断したからです。対戦相手のセミナーと協議の結果、「大学生は地域活性化に恒常的に参加すべきである、是か否か。」に論題が決まりました。相手セミナー自体、このテーマが中心で運営されており、いわば相手の土俵に敢えて乗る形で挑戦した(挑戦させた)のです。つとに我がセミナー生を鍛えるためでした。危機意識を感じた26名のリサーチが始まりました。ディベートのリサーチで肝要なのは、肯定・否定両方の立場から柔軟にものが言えるように事例を豊富に集めることです。ディベート本番でのプレゼン力も大事ですが、周到な「準備力」が結局は物を言うのです。かつシミュレーションの妙。100分の「授業」で可能な限り疑似本番を繰り返して当日臨みました。スクリーンにタイマーが表示され立論、反対尋問と進行していきます。通常、学生はタイマーの数字が減るに連れ、焦り、ビビり、噛みます。けれど「準備」によって「主役」になりきれた我が学生たちは、淡々と「言うべきことを言って」いきます。タイマーを一瞥さえしない学生も。最終弁論が終わり立ち見もでた会場の反応は?

実はディベートの大半は、本番の前の「準備」段階で、勝敗の9割は決しているのです。「準備」即ち「リサーチ」にこそ、学生を「主役」たらしめる戦略性が隠されているのです。我が「主役」の学生たちは、自分たちの「育ち」に気づいていないかも知れません。大丈夫。セミナー内での「卒論第1章の発表」の中に、君たちの「成長」がたくさん見えますよ。