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アクティブラーニングは学生が主役〜その10〜

国際学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第10回。竹澤先生は「主人公」である学生と共に学び合い、自己表現を引き出し、生きる力を身につける指導をしながら、授業のレパートリーに多様性を創造しています。

   


アクティブラーニングは学生が主役

前回、卒業論文(卒論)にちょっと触れました。卒論とアクティブラーニングは切っても切れない関係にある、と言ったら驚きますか?我がセミナー(ゼミ)の学生の卒論のタイトルをいくつか挙げてみます。「教授法」「フィンランド教育」「スポーツにおけるコーチング」「いじめと体罰」「ZARA・ユニクロの経営戦略」「バイナリーオプション」「仮想通貨」「リーダーの条件」「記憶法」「おっかけの心理」・・。もちろん所属学生の数だけあります。類似点はありますが、1つとして同じものはありません。ある同僚が言いました。「竹澤先生、よくこんな多様な(バラバラな)テーマに対応できますね。」私はこう答えました。「主役(学生)と一緒に学ばせてもらっているだけですよ。」


そうです。アクティブラーニングは「教員も学生と同時に学ぶ」のです。一般に「授業づくり」には「同時性」は存在しません。あらかじめ教員が教材を用意し、教育方法を考え学生を導いていきます。学生は教員の一歩あとをついて学びを深めていきます。けれどもアクティブラーニングは違います。「学生の学び」に教員が「同期」していくのです。「共感」「恊働」と言っても良いかも知れません。「主役」が選んだテーマに「共感」し、「主役」と「恊働」して発表原稿や卒論本体をつくりあげていくのです。だから教員は相当の覚悟が要ります。だって「主役」を輝かせるために、「主役」に悟られないように関連分野の学習を積み重ねなければならないからです。

直近の連載に、「日常生活で養う探究心」がありました。これまた編集者のアクティブラーニングに対する深い理解が産み出した原稿でした。「学ぶ楽しさが学びを変える」という本質が明瞭に伝えられていました。我がゼミの卒論には、「書かないと卒業できないから」とか「とりあえず他に思い浮かばないから」は1つもありません。「自分の生き方のため」「就活と直結するテーマ」「好きなものを極めたい」であふれています。私は「共感」しながら、「情報収集→分析→結論」のノウハウを「恊働学習」しています。そしてライティングの「核」である「要約→吟味→提案」の技法を、「恊働」して磨きあげているのです。
我が「主役たち」は、ゼミ仲間の卒論内容を互いに熟知しています。「質問の花を満開に」しているからです。卒論は個人のものであると同時に「アクティブ仲間」のものでもあるのです。