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経済学部:地方公務員と民間の給与は本当に均衡がとれている?《圓生教授》

経済学部:地方公務員と民間の給与は本当に均衡がとれている?《圓生教授》

本学経済学部の教員、圓生和之先生の論文「地方公務員給与における均衡適用過程の誤謬」をご紹介します。圓生先生は兵庫県庁に入庁され、科学技術庁研究振興課勤務等を経て、兵庫県総務部人事課課長補佐、新行政担当課長、兵庫県関係団体総務部長、理事・役員等を歴任されました。人事政策、賃金水準及び賃金構造の経済分析をテーマに研究されており、2015年度日本地方自治研究学会賞などを受賞されています。

地方公務員給与の水準は「均衡の原則」に基づき地域の民間給与との均衡を図ることで決定されます。本論文で圓生先生は、この「均衡」の適用過程に誤謬が生じているために、総体としては外部との均衡が精緻に図られているとしても、個々の地方公務員に実際に適用されている給与の水準は民間給与との均衡水準と乖離したものとなっており、地方公務員給与の妥当性についての一般の理解を妨げる要因となっているのではないかと考え、地方公務員給与の水準決定における「均衡適用過程の誤謬」を検証されています。


地方公務員給与における均衡適用過程の誤謬
圓生 和之

1 はじめに
 この論文の目的は、地方公務員給与の水準決定における「均衡適用過程の誤謬」を明らかにし、今後の地方公務員給与のあり方を考察することにある。
 ここで均衡適用過程の誤謬とは、地方公務員給与の水準決定過程における次のような現象を指した本稿の仮説である。
 地方公務員給与の水準は、いわゆる「均衡の原則」に基づいて(地方公務員法24条3項)、地域の民間給与との均衡を図ることで決定される。そうして決定された総体としての給与水準が公務内部に適用されていくことになるが、それは給与改定原資の配分の問題として、職務給の原則に基づいて(地方公務員法24条1項)、各役職段階の職に適用され(均衡適用)、類似の職に均衡が連鎖されていく(均衡連鎖)。このように、外部との均衡から決定された総体としての給与水準を公務内部に適用し連鎖させていくことを地方公務員給与における「均衡適用過程」と呼ぶとすれば、この均衡適用過程に誤謬が生じており、個々の公務員に実際に適用されている給与の水準は、当初に意図した本来比較対象とすべき民間給与との均衡を失するものとなっているのではないか、というのが本稿の仮説である。
 この均衡適用過程の誤謬が生じているために、地方公務員給与の水準は、総体としては外部との均衡が精緻に図られているとしても、個々の地方公務員に実際に適用されている給与の水準は民間給与との均衡水準と乖離したものとなっており、当の地方公務員自身にも適切なものであるという確信が得られないものと化し、ひいては地方公務員給与の妥当性についての一般の理解を妨げる要因となっているのではないかと考えるのである。

続きはNUCB Journal of Economics and Information Science Vol.60 No.1をご覧ください。