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「What do you think(君はどう思う)?」

OJTをはじめ、新人育成の現場では業界の基礎情報や関連する知識、企業ごとにある独自の歴史や習慣などの習得を優先する傾向があります。新人にとってインプットすることは大切ですが、それのみを優先することで会社の考え方や方法論に固執し柔軟性を欠いてしまうようでは、その研修は成功とはいえません。講義型の研修に慣れてしまい会議に参加してもただ聞くだけの待ちの姿勢では、独創的なアイデアを生み出すことはできません。ビジネスエリアが世界中に拡大している現在、異なる文化圏で生活する海外の消費者にも受け入れられるような独創的な製品やサービスの創出が求められています。そのためにもゼロから何かを生み出すイノベーションが必要です。
総務省では、2014年からイノベーションを起こせる人材を発掘するための「異能vationプログラム」が設置されました。失敗を恐れずに探求する、大いなる可能性がある情報通信技術分野への挑戦者を政府から応援するものです。「失敗を恐れる減点主義の企業が多く、出る杭は叩かれる」「日本の企業の大半は合議制であり、部長が許可しても社長がだめなら進まない」などの、独創的な企画が出にくい日本企業の体質についての指摘もあります。

「What do you think(君はどう思う)?」

では、ITの分野でイノベーションが生まれ続けているアメリカではどうでしょうか。アメリカの会議では個人の意見が要求され、上司が最も使うセリフは「What do you think(君はどう思う)?」だそうです。研修でも上司が一方的に指示をするのではなく、個人の考えを聞かせてほしいと問いかける機会が日本に比べて多いのです。会議など、仕事におけるあらゆるシーンで意見を求められ続けると、常日頃から考える習慣がつくようになります。何気なく歩いていても、流行っている店を見つけたら、どうして流行っているのだろうか?同じように流行っているところはあるだろうか?共通点はないだろうか?などと、日々の生活の中で様々な推測を立てるようになります。
もちろん基礎知識が無い段階で意見を求めても、まともな回答は出てきません。知識があるからこそ、自らの考えを持つことができるようになります。プログラミングのプの字もわかっていない人に、「What do you think?」と聞いても意味がありません。多くの職業において、まずは最低限の知識、基礎的な技術を習得することは不可欠です。しかし、『インプットからアウトプットへ』でもお伝えしたように、学習にはインプットとアウトプットが必要です。今後の社会では既にあるものを改善するのではなく、新たに創造する力、イノベーションしていくためには自分で考え、答えを見つけるアウトプットが不可欠なのです。