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アクティブラーニングで考える本音の聞き出し方

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

椿田貴史先生による「ビジネス心理学」の講義では、購買意思決定プロセスを探る方法として、仮定に対応したアンケート調査の作成を行いました。マーケティングでは自社製品がどの行動段階で購買候補から落ちるのかを知り、どの段階に力を入れるべきか対策を練るツールとして活用されます。今日の講義ではプロセスの初期段階である問題認識段階で購買候補から脱落しないために、市場調査不足や、消費者ニーズの間違った把握を避けることに焦点をあて、効果的な「アンケート調査」を作成します。今回のケースは前回に引き続きチョコレート会社。前回の講義で「インタビュー」を通して学んだことを踏まえながら、アクティブラーニングで議論します。


疲れた時に食べたいのはミルクチョコ?


アンケートの質問項目は何を知りたいかによって変わります。購買意思決定プロセスとは、モノを買いたくなった時に、情報収集し、商品を比較することによって、より自分のニーズに合致したモノを入手する過程を指します。問題認識段階とは、消費者が不満やあこがれ、広告によってニーズが引き起こされ、商品・サービスに対して興味関心を抱く段階です。あるグループは新製品を作る際のアンケートとして、どのようなチョコレートが市場に一番求められているのかを調査内容にすることにしました。「チョコレートの形状は板チョコかひと口タイプ」か、「味はミルクチョコかビターチョコかその他のフレーバー付き」なのか。ここで前回の講義で、「アンケートでは無意識の行動や感情を聞き出すことは難しいと思う」という意見を考慮する必要に気がつきます。また、「インタビューにはテクニックが必要」という意識から「質問文が長すぎたり、直感的に答えられないものだと適当に回答してしまうことがあるのではないか」という意見が出されました。これらの意見から、チョコレートの味を決める際に「ミルクチョコかビターチョコのどちらが好みか」という単純な質問を投げかければ回答がしやすく、信憑性の高いデータが得られるのではないかと考えました。さらに、無意識の動機や価値観を顕在化させるために、「どんな時にチョコレートを食べたくなるか」「誰と一緒に食べることが多いか」と聞くことが有効なのではないかと考えました。

本当に知りたいことを聞き出すためには聞き方にこだわる必要もあります。「なぜこの言葉をチョイスしたのか」「なぜこの順で聞いているのか」「一見無関係そうな質問項目でも、信憑性を確認できる質問を入れた方が良い」など、普段答える側になることが多い学生たちも、質問者側になって初めて質問の意図を意識した様子でした。どの様な場面で、誰を対象にアンケート調査を行うのかという背景も考慮しながら、アクティブラーニングで完成させていきます。

みんなで考察し、より良い視点に気づく

グループで作成したアンケート調査を、スライドに映しながらクラス全体で推敲していきます。初見した時に、「この表現だと質問の意味が伝わらない」「回答方法が記載されていた方がアンケートに答えやすい」と言った意見が挙がり、言われて初めて気がついたことも多くあったようです。グループ内ではディスカッションの流れで当たり前になっていた前提条件も、他者から見ると当たり前ではないこともあります。アクティブラーニングで学ぶことによって、1人ひとりが多くの意見に触れ、物事を体系的に学んでいます。他者の意見を聞き、自分の中で当たり前になっていたことを指摘してもらい、気づく。そしてより良いものを作り上げていく。多様な価値観をシェアすることは他の講義や日常に活かすことができます。このようにアクティブラーニングで日々鍛錬しながら、ビジネスに必要な考察力を磨いていきます。