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アクティブラーニングで学ぶ倫理原則

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

山蔦 真之先生による「ビジネス倫理」の講義ではアクティブラーニングで倫理がビジネスの場面でどのように関わってくるかを学んでいます。
今回のケースの主人公(=あなた)は部下5人を擁する新製品開発チームのリーダー。3年あまりの歳月をかけて開発を進めてきた新製品の完成を間近に控え、部下たち対しても多大なる信頼を寄せていました。そんな時、ライバル社にこの新製品と全く同じような製品を先に発表されてしまい、会議では「チーム内の誰かが新製品の開発情報をもらしたのではないか」ということが示唆される証拠が提出されました。
情報漏えいをした可能性のある部下を解雇するかどうか、自分がリーダーだったらどのような決断をするか、学生たちのディスカッションが始まります。


誠実であるべき対象は?


3年あまりの時間を新しい製品にかけているということは、その製品に対する想いだけでなく、チーム内にも固い信頼関係があることがわかります。
「決定的な証拠がなく、怪しいという理由で解雇するのはどうだろうか」「不当解雇に当たるのでは?」「契約上では不当解雇には当たらなさそうだけれど…」「解雇しないと今後も情報漏洩する人が出てくるかも」「漏えいしたら職を失うことをわからせた方がいい」
ここで先生から「みなさん、解雇する意見の方が多いですか?」と他の意見も促す質問が投げかけられました。
「新製品開発にかけていて、チームの信頼関係もあったはずだと思う」「その部下たちを信頼しているから、情報を漏らしたとは簡単に思えない」「疑わしきは罰せずという言葉もあるし…」
アクティブラーニングではそれぞれの意見を交換する中で、その場で新たな意見を思いつくことがよくあります。ビジネスにおいて利益を出すことの重要性をを学んできている学生たちは、ここで「ビジネス」と「倫理」の間で結論が出せずにいることに気がつきます。

リーダーは部下か雇用主か、どちらに対して誠実であるべきか?ここで着目したのが、倫理原則の1つである「忠実さの原則」です。忠実であることはビジネスにおいて信用や信頼を維持するためには非常に重要なものになります。例えば、雇われる側は自分の業務に対し義務を果たし、求められる水準以上の成果を維持することが挙げられます。一方、雇用する側は社員の目標達成を支援したり、もし解雇する場合は事前に適切なタイミングで知らせるべきだということが挙げられます。
「怪しいってだけで解雇するのは気がひけるよね」「今までの頑張りも見ているし・・・」「部下を解雇すると、チーム内の人間関係が悪くなりそう」「じゃあ、解雇じゃなくて違う部署に異動させるのはどう?」
これも、リーダーが部下に対して忠実であることから導き出した1つの結論です。

アクティブラーニングでは、学生たちが主体的に学んでいくことを目的としてしています。それぞれが発表した内容に対し、考えたことをまた発表して講義は展開されていきます。新たな話題に対し自分の意見を持つ力も、アクティブラーニングによって培われています