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アクティブラーニングで学ぶ企業分析

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

小林伸行先生の企業分析の講義では、財務諸表を活用して企業活動や経営者の意思決定を分析することをアクティブラーニングで学修しています。

会計帳簿の記録方法として,最も広く普及している方法で作成される財務諸表は決して古くさいものではなく、それぞれの時代における企業の経済的活動を示すように、常に現代的なシステムへと変化し続けています。そのような財務諸表を読むことは、ビジネスに関わる者として必須のスキルといえます。


財務諸表の作成スキルを養うのではなく、読解スキルを習得することが目標


講義では、財務諸表を利用して企業分析を行うために、財務諸表がどのような環境のもとで作成されているのか、その特質を理解しました。そして、財務諸表を利用した企業分析のフレームワークといくつかの指標もショートケースを通じて確認していきました。

最近の企業経営における重要なキーワードの一つに「企業価値」があります。
財務諸表の流動資産と流動負債の金額を比較することで企業の短期的な支払い能力(安全性)を判断できるようになり、「企業価値」とはどのようなことなのかの理解を深めましました。

いくつかのケース事例を通じて基本的な理解を深めたあと、実際に公表されている企業の財務諸表等を基に分析しクラスで討議を行いました。

もし、私が孫 正義代表取締役社長だったら...

2016年9月にマイクロプロセッサ開発を行う英国のアームホールディングス社を買収した「ソフトバンクグループ株式会社(2017年)」の2017年3月決算における財務諸表を読み解き、収益性、安全性、買収の是非について議論を行いました。

■先生からの事前課題
「アームホールディングス社の情報から、自身がソフトバンクグループの経営者である孫さんの立場であったら、いくらで買収するか、もしくはしないか」

学生からは、
「買収に約3.3兆円かかる。将来性にかけるには高すぎるので買収しない。」
「スマートフォンのチップは今のソフトバンクと関係ない。買収はリスクが高すぎる。」
「買収する意味がない。自社のコンテンツだけで十分である。」
「言い値より高く買う意味は無い。」
といったように「私が経営者なら買収しない」とする意見が多くありました。

実際のところ、汎用性の高い技術でモノがネットにつながるIoT(Internet of Things)により、その頭脳となる半導体の需要は爆発的に伸びるとみられています。
通信各社は短期的な視点ではなく、長期的に開発できる事業への参入が必要になっています。
現在の状況を加味したあとの討議では、企業を持続するために「買収する」という意見も増えてきました。

実際にいま起きていることなので正解があるわけではありません。様々な視点からの意見を聞き学びを深めることがアクティブラーニングです。
数値は経営判断における絶対的な判断基準ではありませんが、これが無いと判断材料も無くなってしまいます。小林先生から、最後に社会に出て判断を迫られるとき、数値だけに囚われることなくバランス良く意思決定ができる人材となって欲しいと、メッセージがありました。