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アクティブラーニングで学ぶ経済学入門

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

名古屋キャンパスでは、1年次向けの岩澤誠一郎先生の経済学入門の授業が夏休み前に開講されました。

この授業では、企業の意思決定を題材としたケースを通じてアクティブラーニングで議論を行うことで経済学の基本を学びます。経済学的な考え方を理解した上で、企業の経営者、あるいは従業員として市場経済の中でビジネスを成功させる能力を学修します。

経済学などというと、とっつきにくいように思われるかもしれませんが、岩澤先生の生徒を巻き込みながら行うスタイルで終始笑い声が絶えない授業でした。学生が主役となり、自ら意思決定をしてもらうゲーム(教室実験)も行うことで、学生たちも自主性を持ちながら経済学の基礎的な考え方を習得し、さまざまな議題について意見が交わされていました。

労働市場 〜仕事に関する人々の意識〜

授業の最終日は、労働市場におけるインセンティブとモチベーションをテーマに授業が行われました。人の意識を引き出すために、外部から与える刺激のことを「インセンティブ」と呼びます。企業の中のインセンティブは、賃金や出世などを示します。

働く意識やモチベーションについて、ケースや事例を用いながら理解を深めました。
その事例のひとつとして、NHK放送文化研究所が行っている「日本人の意識」調査を取り上げました。意識調査の質問にある「仕事に関する人々の意識」を使い、学生たちが考える「一番、理想的だと思う仕事」「二番目に理想だと思う仕事」を選択肢の中から選び議論しました。


選択肢には、(1) 働く時間が短い仕事、(2) 失業の心配がない仕事、(3) 健康を損なう心配のない仕事、(4) 高い収入が得られる仕事・・・などがありましたが、10項目ほどある選択肢の中から学生が多く選んだのは、

・高い収入が得られる仕事
・仲間と楽しく働ける仕事
・独立して、人に気兼ねなくやれる仕事

でした。
実際に2013年の調査結果として日本人の「理想の仕事」で多かった項目は、

・仲間と楽しく働ける仕事
・失業の心配のない仕事
・専門知識や特技が活かせる仕事

という結果で、多くの学生が手を挙げていた「高い収入を得られる仕事」は、調査結果では6番目でした。比べてみると、実際の調査は少し現実味を帯びており、学生たちの結果はとても働く意欲と向上心が強く感じられました。

実際に働く人々は、収入だけではなく、仕事に対し「楽しさ」「おもしろさ」「人間関係の良好さ」や「自己の成長」などを求めており、仕事の満足度は「収入が多い」だけでは、必ずしも得られないことが分かりました。人々はなぜ「収入」だけでなく、仕事に対し、「楽しさ」や「おもしろさ」といったことを求めるのでしょうか?このことを心理学も用いて、働くモチベーションについてアクティブラーニングで学びました。

経済学入門の感想

授業の最後には学生から授業の感想を聞く時間も設けられました。
「経済学を難しく捉えていた」という意見が多くありましたが、「授業を通していろんな意見や考えを知り、仕事に対する考え方やものの捉え方を身につけることができた」「経済を身近に感じることができた」と、学生からは楽しく経済学が学べたと感想がありました。

最後に岩澤先生からは、「学生時代に何を学ぶかで今後の人生が大きく変わる」とアドバイスもありました。学生たちは今回の授業を通じて、経済学を市場取引や損益計算書などさまざまな角度から学んだことで、今後の授業に活用できる基盤ができました。夏休み明けの授業も意欲的に学ぶ姿を期待しています。