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多様性社会における価値観の衝突

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

学生から社会人へ

社会人になるとどうなるのか? 
学生の間は同世代と関わることが多いですが、社会に出ると年齢・出身・性別・国籍などが異なる様々な方と密接に関わる機会が増えていきます。友人関係とは異なり、会社の上司・先輩・後輩・お客様とビジネス上のお付き合いがスタートします。また、アルバイトのような非正規の雇用ではなく、入社した企業との契約に基づき社会的な責任のもとで働くことになります。当然、自分の思い通りに行かないこと、意思疎通がうまくいかないこと、様々な障壁が増えストレスを感じることも多くなるでしょう。そして経済的にも自立し、親の扶養から離れ自身の生活を自ら管理していく必要もあります。

井坂智博先生の『ビジネス基礎2』では2年生を対象に、新入社員から入社5年目までのキャリア形成に必要な視点をケースで取り上げます。今後の学生生活で具体的にどのような行動をすべきか、どんな準備をしていけば良いのか、多様性のある社会でたくさんの人と関わりながら、働くために必要な『対応力を身につける』ことを目標に議論していきます。大企業・中小企業のコンサルティングを多数経験し、多くの社会人の実情を目の当たりに井坂先生だからこそできる授業内容です。

報連相の大切さ


授業初日は井坂先生が作成されたオリジナルケースをもとに「報連相の大切さ」について学んでいきます。
「報告・連絡・相談」は社会人にとっては基本中の基本ですが、実際にしっかりとできている方は意外と少ないのではないでしょうか。企業で働く中で情報共有は非常に重要です。「誰が、いつ、どこで、何を、どのように」行っているのか、これが分からなければ社会人として効率よく仕事はできません。
しかし一言に情報共有といっても方法は様々です。口頭で説明するのか? メール? 電話? またはLINEのようなSNSツール? 状況や相手によってどう使い分けるのか、それぞれのメリット・デメリットを参加者全員で議論していきました。同じ状況でも学生たちが考える方法、理由は様々です。口頭や電話で説明した方が早い、メールであれば相手の好きなタイミングで確認できる、文章は端的に書いた方が良い、いや経緯も含めて詳細に記載するべきだ、等々初日から白熱した議論になりました。

そして今回のケースの面白さは、自らを登場人物の誰に重ねるかで考え方が大きく変わってくる点にあります。
学生達は井坂先生からの課題に沿って自らを先輩、上司などに置き換えて議論を交わしていきます。相手の立場になって考えるという言葉はよく聞きますが、新入社員に対して先輩社員としてどのようにサポートすべきなのか、また先輩社員の気持ちを考えて新入社員としてどのように行動していくべきなのか。学生達もアルバイトや部活、学校生活での経験をもとに想像力を膨らませて議論していきます。正解はどこにもありません。
授業が終わった学生達からは以下のような感想が聞こえてきました。

  • 社会に出る前にこの授業が履修できて良かった。
  • リアルな事例について議論することで、多様性社会における価値観の衝突など、現代社会の厳しさと面白さを理解できた。
  • 多様な意見を聞くことができ、引き出しが広がり、選択肢を増やすことができた。

同じ世代の学生達でもケースを深く読み込んで議論していくことで、多様な考え方があることがよくわかります。
ケースに「多様性時代の新入社員教育」とサブタイトルがついている通り、現代社会では様々な世代が共に働いています。時代背景が大きく異なり、受けてきた教育や考え方も異なるからこそ、互いに理解しようと歩み寄っていくことが必要です。
今回はそんな社会を擬似体験できる授業だったのではないでしょうか。