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《オンライン授業》先生の質問ひとつで学生の視点が変わる

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

伊藤博先生の国際ボランティア論では、海外で活動を行う際に参考となる知識の習得およびその応用を通じたグローバル人材の育成を目指しています。今回の授業では、国際教育開発について学んでいきます。国際協力において教育開発は重要な役割を果たすと考えられています。しかし、途上国の教育を改善する以前に、日本の教育はどうなっているのでしょうか。OECDが行う共通テストPISAの結果を分析し、日本の教育について考察していきます。

PISAとは…
国際学習到達度評価調査。フランスのパリに本部がある経済協力開発機構(OECD)が2000年以降、3年ごとに行う国際基準テストであり、2018年度は世界79カ国から60万人の15歳人口(日本の高校1年生)が参加している。

PISAの各国の平均点得点順位を話題に議論がスタート

今回使用したケースは【PISAの読解力ショック】というケースで、授業の最初にPISAの各国の平均得点順位が提示されました。読解力・数学的応用力・科学的応用力がピックアップされており、日本は特に読解力が低いという結果でした。このPISAの結果に対して、別の調査では日本の学力は中学3年生までは下がっていないという結果が出ています。2つの調査結果を踏まえて、伊藤先生は「中学3年生から高校1年生までの短期間に何か大きな変化があるのか?」と学生に問いかけます。学生からは「受験が終わった開放感で勉強しなくなる」や「スマホを持ち始める時期でもあるので、SNSで略語などを使い読解力が下がる」等の発言がありました。その他「高校から義務教育ではなくなるので、自分で勉強しないといけなくなる」といった学生の意見もありました。

先生の質問ひとつで、学生の視点が変わる


上記の「高校から義務教育ではなくなるので、自分で勉強しないといけなくなる」という意見に対して、伊藤先生は「高校も中学と同じ義務教育ではないか?」とさらに質問を投げかけます。その質問に対して、「高校から商業科などの専門分野に進む人が増えることが理由なのではないか」という発言が学生から出ていました。この発言をきっかけに、これまで全体で議論していた《高校生個人の問題》という視点から《日本という国の制度の問題》という異なる視点に移り、議論が深まっていく様子が伺えました。
アクティブラーニングは学生の挙手を中心に授業が進んでいきます。しかし、今回のように学生たちの発言だけでは議論が深化しない時は先生の存在が議論に大きな影響を及ぼします。先生の質問一つで学生たちの物事の捉え方が変化したり、視点が変わっていく…アクティブラーニングにおける先生の存在感の強さを感じることのできた授業でした。