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アクティブラーニングで考える世界平和

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

溝渕正季先生による「国際政治」の最終講義では、日本の安全保障政策について考えました。これまでのセッションでは「アメリカ」「中国」「東南アジア」「北朝鮮」「イスラーム国」について、各国の指導者の立場に立って政策を論じてきました。日本を取り巻く国際情勢を学んだ集大成として、憲法9条を中心に様々な角度から安全保障政策について考えました。活発なディスカッションが交わされる様子は、一見、商学や経済学とは関係性の薄そうな「国際政治」。7週間の講義を通じ、学生たちは何を考えたのでしょうか。

日本が戦争をしなかった理由

第二次世界大戦後、日本は憲法9条によって「戦争放棄、戦力及び交戦権の否認」が定められています。これによって日本は戦後一度も戦争を起こさず、また、他国での戦争にも参加していません。では、これまで戦争が起きなかったのは、憲法9条による影響のみだったのでしょうか。

学生たちからは「戦争は絶対に起こしてはいけないという教育が根付いているからではないか」「日本は資源が少ないから、他国から日本と戦争しても得られるものがなく、侵略されなかった」「日米安保条約」と言った意見が出されました。

日米安保条約では、日本が武力攻撃を受けた際はアメリカが日本を助けることが義務付けられており、代わりに日本は基地を無償で提供しています。しかし、近年日本の最も重要な同盟国であるアメリカは威信を低下させつつあり、一方で世界各国が軍事力を強化している背景や、テロの標的にされるのではないかと言う懸念の声もあります。では自国を守るために、日本はどのような選択をすることが望ましいのでしょうか。

「平和」とは何か

ここで議論は憲法9条を改憲すべきかどうかという展開へ。まずはグループディスカッションで改憲するメリットとデメリットを話し合い、両方の意見に鑑みて護憲派と改憲派それぞれの意見が出されました。改憲派は自衛できる力を高める「積極的平和」を支持する意見が多く、護憲派は「他国の戦争に巻き込まれる危険」を心配する声が多くありました。

講義の最後に先生から「今の憲法では、横で他国の兵士が殺されているのを見ても日本は助けることができないけれど、それでもいいですか」と質問が投げかけられました。世界には今も戦争が起きている国があり、それについて考えていく必要もあります。今回の講義は、日本の将来を担うビジネスリーダーとして、日本の進路について、また世界情勢について考える、良いきっかけになったのではないでしょうか。一人ひとりが異なる考えを持っているため、アクティブラーニングによる講義では、時には自分と違う見方で問題を捉えた意見もみられます。一人では思いつかなかった考えを知り、吸収することによって、これまで思いつかなかったメリット、デメリットが浮かぶことも。講義の始めと最後で、自分の意見が変わることすらあります。多くの意見を取り入れながら、自分の考えを発展させてゆく。これもアクティブラーニングによって身につく力のひとつです。