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アクティブラーニングで考える深層心理

#アクティブラーニング #ケーススタディ

今日から椿田貴史先生による「ビジネス心理学」の講義が始まりました。「心理学?」と一瞬ビジネスとどのような関係があるのか分からない方もいるかもしれません。心理学とは、心と行動に関する科学的研究を行う分野です。生活者の心理を理解することは、マーケティングの第一歩といえます。また、マーケティングをする際に、消費者や生活者の深層心理を探る上で心理学で使われる実験的方法や観察方法は非常に役に立つメソッドです。今回は、心理学の方法論の一つ、「インタビュー」を使ったマーケティングについてアクティブラーニングで考えました。


「低カロリー」は女性ウケしない?


今回のケースは、チョコレート会社のマーケターが、新商品のアイディアを思いつき、コンセプトについて考えるというもの。まず初めに、どんなチョコレートをどのように消費しているのか、それを調べるにはどんな方法があるのか、クラスディスカッションを行いました。
「アンケートサイトで調査をする」「LINEを使ってアンケートをする」など、一番多く上がったのがSNSを利用した調査法。現代は、SNSの普及でスマホやパソコンから気軽にアンケートに回答することができます。しかし、顧客や市場が多様化、複雑化していることもあり、この定量調査だけでは本当のニーズや仮説を見つけ出すことは困難です。そこで、そうした複雑な消費者の心理や新市場を見つけ出すために近年再注目されているのが、「インタビュー」による調査法です。

講義の後半では、チョコレートの消費についてインタビューを行い、コンセプトの立案に役立てることにしたと想定し、クラス内でインタビューを行いました。グループに分かれてインタビュアー、記録者、リクルーター、観察者の役割分担をし、質問内容や対象者の属性(性別やチョコが好きか嫌いかなど)を考えました。リクルーターが見つけてきた回答者(観察者)にインタビュアーが質問をし、記録者が回答を記録していきます。インタビュアーの学生の中には、質問をしていくうちに、どんな質問をすれば話が広がるのか、もっと深く聞けるのかを考えて工夫する人もいました。
実際にインタビューをしてみると、カロリーを気にしていそうなイメージの女性でも、買う際にはあまりカロリーは重視しないという回答があり、むしろ値段や量を重視しているという意見が聞こえました。

会話をするように聴く

インタビューを実施後、【調査でインタビューを行うべきか】【アンケートなど定量的調査を行うべきか】ディスカッションを行いました。
「インタビューの内容に意外性がなく、よくある質問ばかりだった。これならアンケート調査でたくさんの意見を聞く方が効率的だ。」というような他の調査法を支持する声もいくつかありました。
しかし、インタビューを行うことに賛成のある学生はこう発言しました。
「インタビューに答えていくうちに、チョコレートを買う際に自分が無意識の行動をしていたことに気づいた。アンケートではこういった無意識の行動を聞き出すことは難しいと思う。」
学生が実際に、チョコレートについてのインタビュー調査を様々な立場から観察したことで、意識している行動だけじゃなく、意識にのぼってこない動機や価値観があることを発見したのです。
また、インタビューのやり方でも、一問一答で答えるよりも、会話をするように聴くことで回答者はリラックスして答えられ、同じ内容の質問でも回答の内容が違ったという発見をした学生もいました。
学生が自らの気づきを発言したことで、インタビューによって無意識の動機や価値観が顕在化したという例や、インタビューにはテクニックが必要ということをアクティブラーニングによってシェアすることができました。