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アクティブラーニングで学ぶ組織と人事

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

伊藤武彦先生の「組織と人事」の授業では、企業やその他の組織におけるリーダーシップとは何か、リーダーとしての意思決定、共に働く人のあり方や行動についてアクティブラーニングで学修します。

組織を牽引するリーダーとは?


全7回の授業のうち前半の3回で、学生たちはリーダーの職務や考え方、その理想像を形成していきます。

1週目では、組織を統括するうえで重要な経営理念の役割について学修します。ヘルスケア商品や医療用医薬品で有名なジョンソン・エンド・ジョンソンが全米から信頼を失い、倒産寸前に追い込まれた事例を扱い、社員全員の行動の指針となる企業理念の大切さを学び、さらに自分の会社を作るとしたらどのような理念を掲げるのか、各々が考えをめぐらせ意図や狙いを議論します。
2週目には、組織のリーダーとして従業員をどう管理し方向づけるのか、組織とルール・制度、人との関わりとその限界について考察していきます。
そして3週目で、リーダーとしての意思決定のあり方について考えます。米国の大手チョコレート製造会社ザ・ハーシー・カンパニー(通例ハーシーズ)の事例を用いて、当時の親会社であったハーシー・トラストが株式の全てを売却することを決定した2002年のペンシルバニア州を舞台に、社長交代や合併買収という場面でのリーダーの責務、従業員へどう説明するのか、リーダーが考えるべきことは時代と共に変化するのかなどを、ディスカッションを通して深めていきます。

いい組織とは何か?


4週目になると、これまで学んだことを踏まえて組織を構成する人の多様性や組織においての個性の活かし方について考えていきます。世界経済フォーラム(WEF)が発表しているGlobal Gender Gap Report 2020(男女平等ランキング2020)では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を数値化しており、この世界的ランキングにおいて日本は121位。また国境なき記者団(RSF)が年に1度発表している、世界180の国と地域を対象とした「報道の自由度」に関するランキングにおいて日本は67位でした。日本は先進国でありながら、地位や権力に対する考え方や価値観、発言において世界的に見て不自由であるという状況に、学生たちは衝撃を受けていました。

伊藤先生は次のように問いかけました。

  • 日本人は「先生が言ったことが正しい」という概念に囚われすぎて発言の自由を失っているのではないか?

学生たちが考えている中で、先生は次のように続けて話されました。

  • 先生が必ずしも正しい考えを持ち合わせているとは限らないし、反対意見や違う見解を学生が発言するから授業が面白くなる。相手にどう思われるかでなく自分がどう考えているのか、それを議論することに意味があり、議論することによって互いを知り、個性を活かす組織を作り上げることができる。

授業という組織を形成する先生と学生の関係性においても、授業の質の向上においても、発言や価値観の多様性を認めることは重要です。上下関係という固定概念によって不自由な状況をつくりだしてしまう日本社会を疑問視することで、学生たちは新しい視点からよりよい組織、社会について考えを深めていました。


最後に映画「ハッピーフィート」を鑑賞し、映画の中に見られるリーダーシップ、組織での人材の活かし方についてグループディスカッションを行いました。リーダーと組織との関係、個人が持つ才能を組織の中でどのように活かしていけばいいのかなど、組織における人材のあり方、人材を活かすための組織のあり方について活発な意見交換が行われていました。