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3年次セミナー紹介《加藤和彦セミナー》

#アクティブラーニング #セミナー #加藤和彦 #曽我弘 #起業 #ケースライティング

都心型コースの3年次はセミナーに所属します。そのセミナーでは都心型コースの卒業課題である「ケースライティング」の指導を受けます。これまでのアクティブラーニングの授業で学んできたことに加えて、よりハイレベルな専門知識を習得しながら、企業研究をしケースを執筆していきます。

加藤 和彦先生のセミナーでは、ビジネスモデルコンペディションに参加する準備や起業家の方のお話を聞いたりと、ケースライティングを書き始める前の事前準備と今後の進路にも役に立つ内容でセミナーが行われています。
そして今日は、名古屋医工連携インキュベータ(NALIC)へ課外活動に行きました。



インキュベータという言葉を知っていますか?


インキュベータとは、生まれたばかりの乳児を育てる保育器を指す言葉です。そこから転じて、起業家を
育てる施設のことも意味しています。

今回、見学させていただいた名古屋医工連携インキュベータは、名古屋市及び愛知県の事業要請に応え、中小企業等経営強化法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が整備を行った大学連携型起業家育成施設(インキュベータ)です。3大学(名古屋大学・名古屋工業大学・名古屋市立大学)をはじめとする地域の大学が有する医工連携・ライフサイエンス分野の技術シーズ・人材等の蓄積を活かし、大学発ベンチャー、中小企業等の育成を行うことにより、新事業・新産業の創出を図り、地域産業の活性化を目指しています。

つまり、新しい挑戦をしようとするベンチャー企業などの起業家に、経営アドバイス、資金調達へのアクセス提供、企業運営に必要なビジネス・技術サービスへの橋渡しを行ってくれます。
NALICのインキュベーションマネージャーの石黒様 から、インキュベータとは何かや、入居している企業について詳しくご説明いただきました。説明の後には、大きな機械が置いてある実験室など施設も見せていただき、起業家たちを支援してる施設や制度をより理解する機会となりました。


定年後にシリコンバレーで起業した曽我さん


このNALICに入居している 株式会社ケミカルゲート の代表取締役である曽我 弘 氏から、定年後にシリコンバレーに渡り起業をした時の貴重な体験談を聞かせていただきました。

1932年生まれの曽我氏は新日鉄を定年退職後、1991年〜2010年までシリコンバレーに移住。Spruce Technologies, Inc.という画像圧縮技術開発のスタートアップを設立します。主にDVDを編集するシステムを開発・販売する企業で、高い評価を受けた商品「DVD Maestro」の顧客にはDisneyがおりDVD普及の一翼を担いました。

会社は85名の従業員を抱えるまでに順調に成長。しかし、従業員を雇い続けるには資金が足りないと感じた曽我氏は、同社を売りに出します。確かな技術を持つ同社に対し、マイクロソフトやアドビなどが買収に手を挙げたそうです。そんな中、少し遅れてアップルが興味を持ちました。マイクロソフトが社内検討をしている間に、スティーブ・ジョブズ氏が迅速に行動に出たのだそうです。ジョブズ氏が曽我氏にコンタクトした翌日には、2人が直接会い、交渉が始まりました。そして3日で、売却が合意されました。それから、アップル社に移籍したSpruce Technologies, Inc.の社員は、これまでの製品に手を加え、MacBookのiDVDへと進化させました。

アップルやyoutubeが起業されたのと時を同じくしてシリコンバレーで起業を経験をされた曽我氏は、いま世界においてトップである企業はもともとスタートアップで設立して間も無いこと、そしてスタートアップが世界を変えていくことを教えてくださいました。例えば、世界の時価総額トップ5であるアップルは設立されてから41年、マイクロソフトは42年です。そして、アマゾンやフェイスブックはまだ20年弱しか経っていません。日本の企業は、創立されて80年経つトヨタ自動車がトップ50の中に1社あるだけです。

iDVDとは
Appleのバージョン「OS X 10.6(Snow Leopard)」まで利用できた、Apple純正のDVD作成アプリです

これからを担う若者たちに


曽我氏は、シリコンバレー発の若い企業が世界のトップとなっていることから、世界からみた日本の企業の地位や現状を教えると共に、若い世代にもっと頑張って欲しいとエールを送ってくれました。20年近くシリコンバレーで、起業家として活躍していた経験豊富な曽我氏から、「起業をするということは難しいことじゃない、良いチームを作って、それをマネージメントする能力というものが最重要事項だ」と学生たちに語りかけてくれました。

そして、会社を作ったら商品はふたつ!ひとつは売る商品、もう一つは会社だとも教えてくれました。「価値は自分で作るもの」、「会社は商品でもある」という考え方は学生の知見を広げてくれたのではないでしょうか。
会社をマイクロソフトやアドビではなく、アップルに売却しようと思ったのは、ジョブズ氏の熱意だともおっしゃていました。年齢や国籍は関係なく、熱意を持ってビジネスを進めていく重要性も教えていただけました。

学生から

「どうやって仲間を見つければよいですか?」
「起業するきっかけは?」
「起業したいと思っていますが、何から始めたら良いですか?」

といった率直な質問にも曽我氏はひとりひとりに丁寧にお答えくださいました。
起業したいなら早く進める!というアドバイスに「将来、起業したいと思っていたけどすぐ始めてみたい。この夏休みから始めようと思う」、「やる気が出て励まされた」といった感想が聞けました。

都心型コースセミナー担当教員は全員実務経験のある実務家教員です。実務経験があるからこそ、こういった方々とのネットワークも持ち、授業の一環をして実務経験を基にした有益なアドバイスが受けられます。これも都心型コースのセミナーの特徴です。