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アクティブラーニングで学ぶ任天堂の成功戦略

#アクティブラーニング #アクティブラーニング事例紹介

都心型コースでは学期ごとに1、2、3年生合同で週末講義を4日間開講しています。
今回は、長沢雄次先生の担当科目「クリティカルシンキング」を紹介します。

世界中の子どもたちを魅惑し圧倒的な支持を得て、子どものライフスタイルをも変えてしまった任天堂のファミコン。今回の授業では、老舗花札メーカーだった任天堂が一躍世界市場を制覇し、かつ競合の参入を許さなかった成功理由をアクティブラーニングで考えます。

クリティカルシンキングとは
あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最も良い答えに辿り着くための思考方法。批判的思考と訳される場合が多いが、単に否定的になるのではなく、自身の論理構成や内容について深く省みることを意味する。

市場を制覇し売れ続けたファミコンの販売戦略


家庭用ビデオゲーム産業に複数の企業が参入した1980年代、ゲーム機は5〜8万円で売られていました。それに対し、任天堂のファミコンは2万4千円という段違いに安い値段で売られていました。
任天堂はスーパーマリオブラザーズやゼルダの伝説といったヒット作をリリースすると、いよいよ需要が供給を上回るようになり、ファミコン用のゲームソフトの開発を他の会社にライセンス委託します。
そこでさらに売れ続ける仕組みをつくるために、ゲームソフトを開発する会社に対して、年間にリリースできるゲームソフトの数を制限したのです。
これにはどのような意図があったのでしょうか。まずは消費者の立場で考えてみます。

先生「なぜ任天堂は開発できるソフトの数を制限したのだろう?」
学生A「長期間かけて開発されたゲームだから期待感も生まれるし、希少価値があって欲しくなる」
学生B「ゲームソフトは値引きをしないことになっていたから、新作が出たらすぐに売れてしまい、品薄状況がまた購買意欲を駆り立てたと思う」

次に、ゲームソフト開発会社の立場で考えてみます。
学生C「限られた数しか開発できないってことは・・・」
学生D「売り上げのために、必ずヒット作を出そうと質の良いソフトが開発されそう」

市場を独占できた勝因は、常に需要が供給を上回る仕組みにあったと言えます。人々の心理をうまく利用していたことが任天堂のケースから読み取れました。授業では消費者、ゲームソフト開発会社の立場に加えて、ハード製造会社、競合会社の視点からも任天堂の戦略を考えていきました。クリティカルシンキングを体得することは容易ではありませんが、このように様々な立場で考えることで、適切に分析し、最適な解に辿り着くことを体感しました。アクティブラーニングで追体験したことで、少しずつクリティカルシンキングのコツを掴むことのできた授業でした。