ヨーロッパで調査研究の旅
- 海外留学
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9月から2ヶ月間、ギャップイヤープログラムに参加した経営学部経営情報学科2年生の柴田くん。1年生の春に国際ボランティアを経験し、さらに海外への理解を深めるため、このプログラムに参加しました。無事にプロ...

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Gap Year Program
イギリス
10月11日(水)に「2017 Gap Year Program」の参加者による研究報告会が実施されました。本プログラムを通し大きく成長した学生たちによるプレゼンテーションは、個性的かつレベルの高い内容でした。そんな彼らの体験談や研究内容について、名古屋商科大学ホームページにて今後少しずつ公開していく予定です。今回は、経営学部1年生による「パンの市場調査から考察するヨーロッパの物価研究」について触れていきます。
私は「パンの市場調査から考察するヨーロッパの物価研究」を実施するために、イギリス、フランス、イタリア、ドイツの4カ国を巡ってきました。この研究テーマに決めた理由はいくつかあります。まず、EU諸国内に物価の違いが生まれているからです。現在、EUでは同一通貨であるユーロが使用されています。同じ通貨を使用している地域内では物価がある程度等しいことが理想です。しかし、実際にEUでは物価の違いが生まれています。そこで、ヨーロッパの人々の生活に欠かせないパンの値段を基に、物価の違いが生まれる理由について考察しようと思いこのテーマを設定しました。また、私はパン屋でのアルバイト経験があり、自分の経験を活かすことができると思ったことも理由の一つです。
イギリス、フランス、イタリア、ドイツの4カ国を巡り、250件以上のアンケート調査と、50件以上のインタビュー調査を実施しました。その結果、パンの値段は経済力の強い国ほど高くなるということが分かりました。経済力のある国では、その国で働く人の給料や家賃、輸送費等が他国と比較して高額になります。したがって、そのような国で製造されたパンの価格も当然高くなります。経済力にくわえて、税金の影響力も無視することはできません。税率が高くなれば、当然物価は高くなります。このように、数多くの要因によって、ヨーロッパ諸国の物価は大きく変動することが分かりました。
しかしながら、私が今回の調査の中で一番興味をひかれたのは、パンの色です。ヨーロッパ人の食文化について書かれた、『ヨーロッパの食文化』(1999)の中で、著者のモンタナーリは、「パンのヒエラルキーは社会のヒエラルキーを反映している」と主張しています。つまり、どのようなパンを食べるかによって、その人の身分や地位が分かるというものです。たとえば、白いパンを食べる人は富裕層であり、黒いパンを食べる人は貧困層というように、昔はパンの色によって階級が分かれていたようです。私がこの本を読んで気になったのは、パンの色によるヒエラルキーの違いは現在も存在しているのかということです。今回の調査では、数多くのアンケート調査を実施しましたが、面白い結果が出ています。最も物価が高かったイギリスでは、圧倒的にホワイトブレッドを好む人の票が多かったです。「物価が高い=富裕層が多い」と仮定すると、今も昔もヨーロッパの中で富裕層が多いイギリスで、白いパンを好む人が多いというアンケートの結果は、『ヨーロッパの食文化』に書かれている内容を証明していると考えられます。したがって、物価の違いは少なからずパンの色との関係があると推測することが可能です。
約70日間をかけて、各自の自主的な計画に基づき、ヨーロッパを舞台に単独で調査・研究活動を行います。欧州ではすでに定着している習慣を参考にしたもので、海外での生活を通して自分を見つめ直し、世界的な視野を持った人材へと大きく成長することができます。このプログラムがきっかけとなり、海外留学提携校への交換留学を希望するなど、学修意欲の向上や将来計画への動機付けになる学生も少なくありません。名古屋商科大学では、建学の精神「フロンティア・スピリット」を実践するGap Year Program参加者に対し、奨学金を給費しています。
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