《講義レポート》マーケティング論:小野裕二先生
マーケティング=売れる仕組みづくり
マーケティングと聞くと、ビジネスの世界でも成功の鍵を握る重要な要素の一つに挙げられますが、このマーケティングという概念を端的に定義すれば、シンプルに「売れる仕組みづくり」となります。小野先生の本講義では、マーケティングを考えるにあたって必要な概念を学びながら、実在企業の成功事例「ケース」を用いて講義が展開されるので、受講する学生も親しみをもって講義に臨むことができます。先生とのディスカッションを交えた良い緊張感の中、本日は地元名古屋が発祥の企業である「ヴィレッジヴァンガード」がケースとして取り上げられました。
遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」の型にはまらないマーケティング
今では全国の都道府県全てで出店を達成し、大型ショッピングモール等で店舗を展開している「遊べる本屋」のイメージがある企業ですが、大きく成功した今日に至るまでには、通常の書店経営やチェーン店戦略では選択しない、肩にはまらないマーケティング戦略が成功の要因として挙げられました。
整然と商品が陳列され、効率を重視した一般的な書店と違い、ヴィレッジヴァンガードでは一見すると顧客が商品を選択しづらく非効率に思えてしまう圧縮陳列(ジャングル陳列)にこそ、成功した鍵が隠されていました。この陳列手法は商品を探す楽しみや面白いものに出会うといった、顧客満足の向上や潜在ニーズの掘りおこしとなるだけでなく、そこで働く社員に権限を与え、各自がオリジナリティを出しながら仕入れ・陳列・広告までも全て任せることによって、職場の活性化や独自性の確立に加え、企業価値が高まっていく結果にも繋がったのです。
現在の世の中はIT化やマニュアル化が突き詰められていますが、画一的なものばかりがありふれると必ずニッチ(隙間)な業界ができるモデルケースとして、型にはまらない同社の経営スタイルはすべてのビジネスに通じる理であると考えさせられるケースでした。