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商学部:内国歳入法第482条と「所得の明白な反映」《進藤教授》

商学部:内国歳入法第482条と「所得の明白な反映」《進藤教授》

本学商学部の教員、進藤直義先生の論文「所得の割当てと内国歳入法第482条―所得の明白な反映―」をご紹介します。進藤先生は監査法人サンワ東京丸の内事務所(現:有限責任監査法人トーマツ)を経て、公認会計士・税理士事務所を開業され、会計監査・株価鑑定(裁判所依頼)・会社再生・ベンチャー企業などの業務のほか、税理士業務は医業・小規模法人等の税務を中心に従事されています。

アメリカの内国歳入法第482条は、納税者とその利害関係人との間の算定した所得、経費控除等が課税逃れ、もしくは所得を明白に反映していないと税務当局側が認めた場合、当局側の裁量権に基づいて納税者とその利害関係人との間について所得の割当てをしてもよいとする規定です。本論文は、この現行規定の内容と適用範囲を検討し、関連する租税法上の論点にも触れています。また当局側による所得割当て方法の判断基準や、所得割当てについての決定や合意がなされた場合にもたらされる二次的・派生的問題についても検討されています。

  


所得の割当てと内国歳入法第482条―所得の明白な反映―
Allocate of income and IRC§482―clear reflect of income―
進藤 直義

はじめに
 アメリカ合衆国の内国歳入法第482条は、納税者とその利害関係人との間の算定した所得、経費控除等が課税逃れ、もしくは、所得を明白に反映していないと税務当局側が認めた場合、税務当局側の裁量権に基づいて納税者とその利害関係人との間について所得の割当てをしてもよいとする規定である。そして、納税者の利害関係人の範囲は、アメリカ合衆国内にとどまらず国外における利害関係人にまで及ぶ規定となっている。このため、内国歳入法第482条は国際課税における移転価格税制の基本条文になっている。
 内国歳入法第482条の規定は、納税者の利害関係人の範囲、課税逃れかどうかの判断基準、所得の明白な反映であるかの判断基準、所得割当ての判断基準・方法、所得割当ての判断の時期、税務当局側の判断に関する裁量権の範囲等について、非常にあいまい、広汎な規定であるとともに租税法上の他の重要な規定や論点とも重複、関連している。
 そこで、内国歳入法第482条の現行規定の内容と適用範囲を検討し、関連する租税法上の論点にも触れる。また、立法経緯を振り返るとともに税務当局側による所得割当て方法の判断基準を検討する。さらに、税務当局側による所得割当てについての決定や合意がなされた場合、関連当事者間の債権・債務関係も調整する必要があり二次的・派生的問題をももたらすことになる。この二次的・派生的問題についても検討を行う。
 なお、OECD のBEPS(base erosion and profit shifting)行動計画の第13番目として移転価格書面の再吟味計画が掲げられており、2015年9月、12月が最終行動計画日とされている。そして、多国籍企業はOECD に対して企業内移転価格資料の提出を義務付けられことが予定されている。

続きはNUCB Journal of Economics and Information Science Vol.60 No.1をご覧ください。