《講義レポート》製品戦略論:山岡隆志先生
「コマツ」のV字回復を支えた製品戦略
今回、課題となっていたのは建設機械メーカー「コマツ」が仕掛けた製品戦略。今や世界的重機メーカーの「コマツ」も実は、2000年頃は業績不振で倒産寸前に追い込まれていました。そこで社長に就任した坂根正弘氏が断行した製品戦略が「コムトラックス」と「ダントツ商品」の導入でした。マーケティング専門の山岡教授は学生に問いかけます。「コムトラックスやダントツ商品の導入がなぜ必要だったのか、何がもたらされたのか」。
事前に予習してきた学生たちは答えます。「社員の士気をあげるために象徴的な商品が必要だった」「顧客のビジネスに深く入り込め、さらなるニーズ発掘が可能になった」など、活発な意見発表が行われ、コマツの徹底した顧客志向が浮き彫りになってきました。マーケティングの基本である「顧客第一主義」の重要性が、この実例を吟味することで理解できます。
製品開発に必要な発想法
新製品を開発するプロセスの第一段階は「アイディア創出」。アイディアは無から自由に発想するイメージがありますが、実は少し異なります。その発想法はポジショニングマップ発想法、前提逆転発想法、分割発想法など数種類あり、いずれも現状を正しく、把握し分析することから始まります。
例えば、前提逆転発想法では、実際に9つの黒い点(縦3個、横3個)が明示され、3本以下の直線だけですべての点を通しなさいというクイズが出されました。直線は黒丸の中心を貫かねばならないなどの思い込みや前提を取っ払うと答えが出てきます。こうした事例と演習を通して、発想の柔軟性を身につけていきます。
講義の最後には、以前の講義で学生が考案して発表した「IDEOの財布」の表彰式が行われました。実際に自分が考えて作り出した商品のフィードバックを得て、マーケティングスキルをさらに磨いていくことが可能となります。