アクティブラーニングで学ぶ国際政治
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溝渕正季先生による『国際政治』の講義ではこれから国際政治を学んでいく上で基礎となる「政治現象を理解・分析するための基本的な枠組み」についてアクティブラーニングで学修しました。 国際政治という学問は20...
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Case Method
溝渕先生による国際政治では、南北問題を取り上げ、自由貿易によって生じる貧富の差について考えました。この日の講義では、アクティブラーニングの一環として貿易ゲームを実施し、いかにして南部の国で深刻な貧困が発生してしまうかを実践を通じ学習しました。貿易ゲームとは、紙(資源)や道具(技術)を不平等に与えられた複数のグループ(国家)の間で、できるだけ多くの富を築くことを競う、貿易のシュミレーション・ゲームです。貧富の差について体験を通じて考えるアクティブラーニングによるメジャーな手法ですが、国際政治を学ぶ上で非常に有意義な学習手法です。
まずは各グループを国に見立て、その国の経済状況に合わせて技術や資源を与えます。グループは発展途上国から先進国まで様々です。貿易ゲームのルールは、価格の異なる4種類の製品をハサミや定規を使って見本と同じように作成し、3製品を1組とし、マーケットで買い取ってもらいます。マーケットは見本通り綺麗な製品であれば買い取り、粗悪品は買い取りません。先進国のグループには、このゲームで技術とするハサミや定規等が多く配布される代わりに、資源である紙が与えられない、もしくは少ない状態で始まります。対照的に、発展途上国には資源が多く配布される代わりに技術は少ないという状態になります。
「価格が高い製品をたくさん作ろう。」「うちの班にはその製品を作るコンパスがないよ。」「あの国がコンパスを持っているから、交渉して手に入れよう。」
それぞれ異なる条件の中、自国の富を増やすために、まずは自国の持つ資源と技術を基に製品を作り始めます。自国の条件だけでは富が増やせないとわかると、早速他グループと交渉に移りました。
学生はこれまでアクティブラーニングで培った能力を発揮し、どのグループも積極的に交渉に向かいます。グループは交渉人や製品を生産する人など、分担しながら効率良く進め、各国とも自国の売り上げ向上に努めました。
ゲームが終わる頃には、所持金が70,000ドルから3,000ドルまでと、貧富の差が大きく見られる結果に。富を増やすために必要なことは一体何であったのか、勝因もしくは敗因をグループで議論しました。「途中で市場価格が変わり、大量生産したものが無駄になってしまった」という学生の意見から、市場のトレンドや見通しを持つことの大切さが新たな気づきとしてあったようです。
さらに議論は展開し、「貧困国はどうしたら良いか」という議題へ。「交渉力」「チームワーク」「情報力」といったキーワードが出され、「交渉に有利な学力が必要」「先進国が人的資本を援助すべき」「特定の資源に特化すると良いのではないか」など、貧富差を無くすため様々な議論が繰り広げられました。アクティブラーニングを通じて学びを体感したため、気づきや疑問が次々と出て来ます。実感として得られる知識こそ、アクティブラーニングの醍醐味なのです。